永平寺の食事

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法話

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私が修行した永平寺の食事は質素なものでした。

修行僧が自分たちで作ります。

肉・魚は使いません。ネギやニンニクのような匂いの強い野菜も使いません。

朝はお粥とごま塩とたくあん。

昼は麦入りの白米とみそ汁とたくあんとお菜が一皿。

夜は昼の組み合わせにもう一皿お菜が付きました。

20代の食べ盛り、昼のお菜が煮しめた薄いこんにゃく二切れという日もあり恨めしく思いました。

背中の皮と腹の皮がくっついたままでした。

ジュースやおやつはありません。

甘いものが無性に欲しくなり、チョコレートやアイスクリームやハンバーガーの夢を毎日見ました。

みんなカッケになりました。

便はうさぎのような玉粒状になりました。

開祖道元禅師が示した食事作法が750年間連綿と行じられています。

坐禅堂で自分の器を展べて給仕をしてもらい、食べ終わったらお茶で器を洗ってその場で拭いて仕舞います。

究極のエコロジーです。

最初に箸を付ける順番も決まっています。

ご飯、汁、おかず。

必ず器を口元まで持ってきて食べます。

持ってる器のものだけを口に運びます。

ご飯の器を持って、おかずの皿に箸をのばし、ご飯の上におかずをのせていっしょに食べることはありません。

主食と副食、そのものの味を噛みしめます。

食事中、お唱え以外一言も発しません。

月に一度の芋がゆのときは薩摩芋の甘みが体中に染み渡りました。

娑婆にもどってどんなグルメを食べても、永平寺で食べた芋がゆを超える感動はありません。

私は今でも一番先に箸を付けるのはお米です。

感謝の気持ちをもって、自分を反省し、欲張らず、健康を考え、正しく生きることを誓って箸を付けています。